「愛国無罪」だけでは通らない  宇治敏彦

 丹羽宇一郎中国大使の公用車が中国人に襲われて日本国旗が奪われた事件に関連して中国では「愛国無罪」というスローガンが使われた。ネットや反日デモにも登場した言葉で、国を愛する者に罪はないというわけだ。中国は言葉を重視する国だから、その使い方もなかなか巧みである。文化大革命のころには「造反有理」というスローガンがあった。造反するには、それなりの理由がある、という意味で、工場などの壁に大きく墨書されていたのを思い出す。こうしたスローガンを見ている限り、なるほどと思う一面、それだけでは解決しないことをどう処理するか聞きたいところだ。国を愛するなら何をやってもいいというわけではあるまい。ロンドンオリンピックで韓国の選手が竹島問題に関連して「独島(竹島)は韓国のものだ」と叫んだのも同様である。「愛国無罪」を拡大解釈していけば、戦争しても国の権益を守れ、という理屈に発展していくことになり、結局はナショナリズムがぶつかり合って戦争を繰り返した20世紀に逆戻りすることにもなるだろう。
 コインの裏表のように一面で「愛国無罪」を叫ぶなら、もう一面では「冷静解決」も叫んでもらいたい。国際司法裁判所への提訴だけでなく、領土問題の歴史的経緯、国際世論の形成など幅広く日本も努力していくことが必要だ。
 今年に入ってから目立つ日中、日韓、日ロの領土問題紛争をみるにつけ、いまこそ日本人が国際的にもっと発言していく必要性を痛感する。国際法には「先占の法理」があるが、ただ真っ先に見つけたというだけでなく、その国の実効支配が伴わないと、万民を納得させることは難しい。そうかといって強者の論理で「実効支配優先」主義を貫くだけでは他国の反発を買うばかりだ。ここは一つ「冷静解決」を模索する国際関係づくりと国内のムードづくりに関係国がそれぞれ努力しようではないか。
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