「危惧感説」という考え方  宇治敏彦

 2年前の東日本大震災の直後に東電や「原子力村」の学者などの口から「想定外」という言葉がひんぱんに飛び出した。「想定外」とは、人智を尽くして災害対策、危機対策をとったうえでの災難だから「自分たちには責任がない」とのニュアンスが含まれていた。しかし、予測不能でも「大事態が起こるかもしれない」との予測や不安が存在した場合には、それなりの対応が必要であり、それを怠った責任は問えるのではないか、との考え方が弁護士たちの間でも生まれている。
 それを「危惧感説」というそうだ。このことをレクチャアしてくれた渡部喬一弁護士(元早稲田大学大学院法学研究科講師)によれば、「過失を認める前提として必要な結果発生の客観的予見可能性は、具体的なものでなくともよく、危険を無視できない程度の不安感があれば足りるとする見解」を指す。渡部弁護士は他の弁護士たちと内閣法制局の参事官クラスを交えて勉強会をしているが、30年間に20%ぐらいの確率でも大地震が起きるかもしれないとの不安ないし予測がある場合、それ相応の結果責任回避措置をとる義務を関係企業などに課すことで、悲惨な人身被害を防止できるのではないか、との考えに傾きつつあるという。つまり確率が少なくても不安が存在すれば「想定内」として対応策を求めていくというとの考え方だ。
 渡部弁護士は、かつてホテルニュージャパン火災事件(1892年2月にイギリス人の寝たばこが原因で宿泊客103人のうち33人が死亡した火災)の遺族側弁護団長としてホテルオーナーの横井英樹氏と対決、「人の命は地球より重い」と主張した。
 いま東南海地震が発生すれば国家予算の2倍以上に及ぶ被害が発生するだろうと報道されている。「危惧感説」で対応を急ぐべきときであろう。

スポンサーサイト
プロフィール

magazinehaniwa

Author:magazinehaniwa
ブログ雑誌埴輪へようこそ!
埴輪同人 宇治敏彦・小榑雅章
連絡先
 magazinehaniwa@yahoo.co.jp

最新記事
カテゴリ
最新コメント
月別アーカイブ
FC2カウンター
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR