「友達」とは何か  宇治敏彦

 安倍晋三首相の政治手法で懸念されることが多いが、その一つに「お友達」偏重がある。私生活において友達を大事にすることに何も文句をいうことはないが、こと公(おおやけ)の政(まつりごと)となると違うのではないか。
 NHKの新会長人事にも安倍氏の「お友達」好みが反映されたと伝えられる。いかに公共放送とはいえ、3代続きで外部の人材、それもマスメディアという報道の分野には門外漢の人物が突如起用されるのはいかがなものか。旧知の今井環氏(NHKエンタープライズ社長)に日本記者クラブで遭遇した際に「NHKのドキュメンタリーは素晴らしいが、3代も外部からの会長が続くと、そうした作品がつくれなくなることが懸念される。早く内部昇格の会長をつくってはどうか。貴兄がやったらいいじゃないか」と激励した。そばにいたマスコミ仲間も「そうだ、そうだ」と同調した。
 小生の懸念は、すぐ現実のものになった。1月26日の朝刊各紙によると、籾井(もみい)勝人NHK新会長は25日の就任会見で「特定秘密保護法はしょうがない」「従軍慰安婦は戦争地域ではどこでもあった」「昔の人は『死んで靖国に帰る』といって心を慰めた。千鳥ケ淵(戦没者墓苑)では駄目だという人が大勢いる」などなど、安倍首相の立場を全面支持した。
 放送法は事業者に「政治的公共性」を義務づけているし、公共放送といってもNHKは視聴者の受信料で経営されている報道機関で、国営放送とは明確に違う。籾井会長は、そうした基本すらどこまで頭にいれているが疑問視される。
 前記の今井氏と小生は日本記者クラブの副理事長を一緒にやっていた仲だが、1月17日夜の同クラブ新年会に安倍首相が出席し、冒頭、自らの政治所信についてやや長めの挨拶をした。こういう会に出席するVIPは、挨拶後しばらく記者団と懇談するのが慣わしだが、同夜の安倍氏は挨拶を終えると足早に引き揚げていった。「公務多忙なのだろう」と皆囁きあったが、翌朝新聞の「首相の一日」欄を見て多くのジャーナリストがあんぐりした。
「18時10分 日本記者クラブ新年互礼会で挨拶。 18時32分 読売新聞東京本社ビューラウンジで同グループ本社渡辺恒雄会長、白石興二郎社長と会食。 21時32分私邸着」
 「公と私」。そのわきまえ、バランス、目配りに欠ける政治家をトップに戴く日本の未来は決して明るくない。
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