「戦後70年」を書き終えて思ったこと  宇治敏彦

 先ごろ出版した「政(まつりごと)の言葉から読み解く戦後70年」(新評論)について「埴輪」同人の小榑雅章さんが過分の紹介をしてくれて、拙著の「まえがき」をブログに転載してくれた。
 2年前に「実写1955年体制」(第一法規)を上梓した際にも思ったことだが、何か一つのまとまった仕事をし終えた虚脱感がある。だが、それに加えて今回は、まだまだ書かねばならない時代なのか、という新たな圧迫感が迫ってくる。それというのも6月25日、自民党本部で開催された安倍晋三首相に近い議員たちによる勉強会「文化芸術懇話会」で参加議員や講師に招かれた百田尚樹氏(作家)の口から「沖縄の新聞社はつぶさなあかん」「マスコミを懲らしめるには広告を減らすことを経団連に働きかけるのが一番」などといった暴言・妄言が飛び交ったと知ったからである。
 「本当にそんなこと言ったのか」と初めは信じられなかったが、新聞・テレビ報道によれば百田氏は「軽口・冗談のつもりだった」という。私は「冗談じゃない」と言い返したい。「軽口・冗談」の中に百田氏らの本音が出ている。
 百田氏の「影法師」という小説を読んで武士同士の「男の友情」に感動した覚えがある。だが作品と作者の人格は別物と改めて思った。「沖縄の2つの新聞社は絶対つぶさなあかん」「沖縄で米兵が犯したレイプ犯罪より沖縄人自身が犯したレイプ犯罪の方が、はるかに率が高い」「基地の地主たちは大金持ちなんですよ」といった認識は、沖縄県民の感情を逆なでするものだ。
 勉強会主催者の自民党代議士たちは百田氏と違って公職だから、より罪が重い。
 「マスコミを懲らしめるには広告料収入を減らすのが一番。経団連などに働きかけてほしい」(大西秀男氏。東京16区、当選2回)
 「青年会議所理事長のときマスコミをたたいた。スポンサーにならないことが彼らに一番こたえることを知った」(井上貴博氏、福岡1区、当選2回)
 「沖縄の新聞社は左翼勢力に完全に乗っ取られている」(長尾敬氏、比例近畿ブロック、当選2回)
 筆者は拙著で「戦前・戦中の反省があったからこそマスコミは日本が戦争に巻き込まれるような行動をとることに神経過敏と言ってもいいほど警告や反対論を唱えてきた」「国民が自由にものを言い、政府を批判することが出来ない世の中がじわじわ進んでいる現実を私たちは看過できない」と書いた。
 まさに、その傾向が加速している。せっかく皆で70年間、大事にしてきた「戦後民主主義」がここで崩れるのを私たちは必死になって食い止めなくてはならない。
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