足立直樹著「生物多様性経営」を読んで  小榑雅章

生物多様性経営
10月に名古屋で開催された、生物多様性条約のCOP10は、最後の最後までもつれて、やっとABSに関する名古屋議定書と愛知ターゲットを採択して閉幕しました。しかし、先進国と途上国の利害の対立が際立って、これからの生物多様性への取り組みはだいじょうぶなのかと危惧さえ感じさせるものでした。
またメキシコのカンクンで開催されていた国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)は、数日前の12月11日に閉幕しましたが、ポスト京都議定書については、やはりもめにもめて、結局、結論を先送りにしてしまいました。
生物多様性にしても気候変動にしても、時間の余裕などすでになく、全世界が一致して取り組まなければならない問題なのに、現実は、さまざまな思惑や利害の対立が目立って、この地球は大丈夫なのか、不安に駆られてしまいます。
そんな中で出版された足立直樹さんの「生物多様性経営」という本は、とくに企業人が積極的に読むべき一冊だと思いました。
同じ環境問題でも、CO2削減が大目標になっている気候変動(地球温暖化)は、比較的わかりやすいし、ハイブリッド・カーとかエコ・ポイントとか、私たちの取り組みも何をしたらいいのか具体的です。それに比べて、生物多様性は、何がどうなっているのか、何をしたらいいのかがよくわかりません。希少動物を救え、とか森を守れ、ということなのか、それだったら、もっともなことだが、当面、私たちは関係ないな、というのが、現状ではないでしょうか。
ところが、それは大間違いです。場合によっては気候変動(地球温暖化)よりも、もっと危機的で、もっと重要な課題が差し迫っているのだということを、足立さんはこの「生物多様性経営」という本で必死に説いています。私たちにわかってもらおうと本当に必死に、あらゆる角度から、さまざまな材料や手段を駆使して、説得しようと試みています。
特に企業人に対して、語りかけています。
「私たちの毎日の生活も、すべての事業活動も、生物多様性に依存している。生物多様性を利用して生活も事業も廻っており、それがゆえに、人間の数が増え、生活が豊かになり、経済が活発化すると、今までのやり方では生物多様性への負荷も高くなる。もしそうした方法をこれ以上野放図に放っておけば、私たち自身の足元が危なくなることは必定だ。」
「今や生物多様性に対してきちんとした配慮をしないことは、企業にとって大きなビジネスリスクであるということだ。生物多様性に配慮しないことは、自らを窮地に陥れる行為と言ってもいいだろう。したがって企業は自分自身の存続を守るために、生物多様性に配慮する必要があるのだ。」
このように檄を飛ばすだけでなく、企業にとって何がリスクなのが、何をすべきなのかが具体的に例をあげて解説してある。企業経営者なら、このリスクに無関心ではいられない。まさに自分の会社の存続を考えたら、生物多様性に配慮した経営に切り替えるべきだ---真剣にそう思える一冊です。
足立直樹著「生物多様性経営」日本経済新聞出版社1700円+税

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