ISO26000と人権について 小榑雅章

ここのところ、ずっと「人権」のことが頭の中にあります。
だから人権の文字を見るとつい気になります。
昨日1月20日の夕刊各紙は、米中首脳会談や晩さん会の模様を伝えると同時に人権問題にも触れています。
たとえば東京新聞(電子版)は、こういう記事を掲載しています。
…胡主席は「中国は人権で大きな進歩を遂げ、人権の普遍性も尊重しているが、中国は膨大な人口を抱えた途上国で、経済、社会的な困難に直面していることを考慮すべきだ」と理解を求めた。中国側は声明でも「いかなる国家の内政にも干渉すべきではない」と反論した。これに関連し、米政府当局者は十九日、オバマ大統領が胡主席に対し、ノーベル平和賞受賞者の中国民主活動家、劉暁波氏=服役中=の釈放を要求したと明らかにした。…
胡主席は「人権の普遍性も尊重」しているが、「わが国情も理解してくれ」ということのようです。これは矛盾した話で、人権が普遍的権利だとしたら国情によって変わるはずがないですよね。でも、現実には、人権事情は国によってバラバラです。アフリカをはじめ途上国は、西欧的人権とは遠くかけ離れているのが現状です。
こんな分かりきったことをくどくどと記すのには理由があるのです。
昨年の11月に国際標準化機構(ISO)がSR規格26000を発行しました。SRというのは、Social Responsibilityの頭文字で、この規格は社会的責任の規格なのです。SRというからなじみがないのですが、CSRつまりCorporate Social Responsibility企業の社会的責任の規格といえば、企業関係者なら、ああそうかと納得される向きも多いのではないかと思います。
本来ならCSRの規格として2001年から始められていたのですが、これの規格化に反対してきた企業側が「社会的責任」は企業だけでなく、公共体も労働組合もNGOもみんな対象になるべきだ、という主張を押し通してCがはずれてSR規格になったという由来があります。しかし中身はまったくCSR=企業の社会的責任の規格です。
そのISO26000の中核主題は7つありますが、その中心は人権です。企業行動に人権を守ることを求めているのです。
具体的例を一つ上げます。
企業というのは、利益を求めることが本性です。少しでも安く原料を仕入れ、少しでも安い労働力で加工し、少しでも高く多く売ることを目指しています。問題は、安い原料や安い労働力を求めると当然途上国での活動になり、そのプロセスで少なからず人権問題が発生することがあります。この場合、先進国から見たら人権が侵害されていると思っても、途上国では外貨もほしい、産業も育てたいので国策として工場をつくり安い労働を是認している場合が多々あります。企業も、それだからこそ安い産物が作れるので加工生産を委託しているのです。
その国が良し、としていることを他国の企業がだめ、ということができるのか。すくなくとも企業側が人権を重視すれば、当該国には圧力になり、賃金を上げたり労働環境をよくする努力をするだろうとなると、このSR規格ISO26000は考えています。
この規格は、法律でも条約でもないので、強制力はありません。また、企業側の強い反対で、第三者認証も必要ありません。企業はどう動くでしょうか。
これまで規格化は不可能といわれていたCSR=企業の社会的責任の規格が、とうとう実現したのです。これを実効ある規格に仕上げていく運動が、これからはじまります。それは誰がやるのか。すくなくとも企業側ではないでしょう。誰がやるのか、その前提として、まず「人権」をどう考えるのか。それは日本人の考える人権とアメリカ人が考えるのと同じなのか。フランス人や中国人の考える人権はどうなのか。途上国はどうなのか。
人権と規格はなじむものなのか。人権って本当に普遍的権利なのか。
問題点は分かったが、そんなことあんたが考えてもどうなるもんでもなかろうに、あほではないか。まったくあほですね。このところ頭の中にずっと「人権」があります。

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