スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「待たされる人たち」の心理  宇治敏彦

 最近経験した二つの場面には心理学的な共通点のあると思うので、後学のために書き留めておきたい。一つは上野の国立博物館で開催されている「北京故宮博物院200選」展の招待日のこと。午後6時からのレセプション、特別鑑賞会という案内なので先輩と5時半に館前に到着したのだが、既に長蛇の列ができていた。北宋の宮廷画家・張択端が当時の都だった開封の人々700人以上を生き生きと描いた「清明上河図巻」が展示されていることもあってだが、開催時間になっても展覧会場に入ることが出来ず、招待客がいらいらし始めた。「いつまで待たすんだ」「なんのための招待会だ」と叫ぶ人もでてきた。なかには帰ってしまうお客さんも。私たちが展覧会場の中に入れたのは到着してから1時間以上経った6時45分ごろだった。しかも「第一会場は混在しているので第二会場からお入りください」との案内。招待会でこんなことは初めてである。冒頭に主催者の挨拶やテープカット行事があってもせいぜい30分ぐらいで、混雑なしで見られるというのが招待会や内覧会の魅力のはずだが、この日は違っていた。会場内で主催者の一人に会ったので「せっかくの展覧会なのに招待客が文句いって台無しですよ」と忠言すると、彼は「一点集中の問題点が出てしまって」と釈明していた。その清明上河図巻を見るには別途予約も必要ということで、その予約も7時に入館しても9時過ぎ以降の閲覧というのだから話にならない。招待客の文句が多かったせいか、遂に博物館側も休館日に再度招待という善後策をアナウンスした。なぜこんな失態が生じたのだろう。小生の見るところ①既に一般公開が始まってから特別招待の内覧会を設定したこと②一般客が会場にまだ残っているので招待客を会場に入れられなかったこと③1点に限り予約制というやり方が混乱を大きくしたこと―などに問題があったのではないか。それにしても「待たされる人たち」の心理に対する対応がおそまつ過ぎたのではなかろうか。
 もう一つは慶応義塾大学病院の新しい「予約制度」「電子カルテ」の導入についてである。半年ぶりで検査のために最近、信濃町の同病院に行ったら、いつもと雰囲気が違って大変な混雑であった。特に採血センターの前には長蛇の列ができている。昨年秋に「患者さんの診察待ち時間の短縮を目的に新しい予約制を導入します」とのお知らせが届いていたが、それが患者側だけでなく病院内でも徹底していない印象だった。たとえば病院側は「採血」に続いて「検尿・検便」なども院内1箇所で集中的に行う仕組みに変更した。なるほど採血、検尿はどの診察科目であろうと同じ検査だから、各科でやるより全院共通のほうが合理的であり、人件費削減にもなるであろう。ところが実際は、それがなかなかうまくいかない。泌尿器科では患者たちが看護婦さんに「検尿にいったら、それは電子カルテの診察スケジュール票に入っていないといわれた」とか「採血と検尿を一緒に出来るのかと思ったら、採血だけで検尿は別だといわれたが、どうなっているんだ」など文句をいっている。
 小生も採血と検尿は別々にといわれた一人だ。つまり検尿は事前に、採血が医師の診察を受けた後でということで、従来と変わらないから、検査センターを統合したからといって「待ち時間の短縮」にはつながらず、二重手間の感すらする。さらに会計になったら普段は5000円以下の料金だが10000円近くも請求された。自動会計精算システムになっているので、いったんは支払ったものの腑に落ちないので申し出ると、「済みません、初診料の選定医療費が加算されていました」と払い戻してくれた。
 「患者のため」という名目で導入された制度が、どうもその目的通りに作用せず、結果的に患者が待たされたり、困惑している。ここにも「待たされる人たち」の心理に十分応えきれないシステムの欠陥を感じた。そのシステムも人間が考えだしたものだから、展覧会にしろ病院にしろ、何か新しい仕組みの導入や制度改善には、そのサービスを受ける側を十分納得させるものかどうかの心理的研究も事前に十分しなければならないと痛感した。
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

magazinehaniwa

Author:magazinehaniwa
ブログ雑誌埴輪へようこそ!
埴輪同人 宇治敏彦・小榑雅章
連絡先
 magazinehaniwa@yahoo.co.jp

最新記事
カテゴリ
最新コメント
月別アーカイブ
FC2カウンター
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。