福島の若者たちの声を聞こう  小榑雅章

先週、福島に行ってきました。
間もなく、あの大震災から1年になろうというのに、復旧はおろか何の展望も開けずに、ただ立ち尽くす人々の姿に出会いました。
福島第一原発事故により、現在でも、約3万700人が仮設住宅、約6万2700人が民間の借り上げ住宅で暮らしており、自主避難を含めた県外避難は6万人を超えているとのことです。
なんと、15万人を超える人たちが、故郷を離れて、いつ戻れるかも分からず、日夜を異郷で暮らしているのです。
そんな中でも、少しでも住民の役に立とうとNPOとして苦闘している地元の若者たちの話を聞きました。
若者たちは語ってくれました。
瓦礫は片付けました。援助物資も配りました。避難所の世話もしました。話し相手にもなっています。しかし、その先は、どうしたらいいのでしょう。いつまで、どこまでいったら、こういう状況は解決するのでしょうか。警戒区域や計画的避難は、いつになったら解除されるのですか。5年ですか、10年ですか。30年ですか。いつか分からない。展望が開けない。それは、まるで牢獄の中の未決の囚人と同じではないですか。これほどの苦役はありません。
避難区域ではないところの住民も苦しんでいます。苦労してやっと収穫したコメが、放射能基準値を超えていた。そのニュースが流れたら、他の地域のコメは基準値以下でも、もう福島産のコメは、行き先がなくなってしまいました。農産物も、おなじような被害にあっています。風評被害というのでしょうが、これはだれの責任なのですか。そういう農産物は食べたくないという人が良くないのかもしれないが、原発の事故さえなければ、こんなことは起こらなかったのです。
自分たちは、農業こそ福島県の資産だと考えています。農業を再興することが、福島を再建することだと確信して、農業に従事しようとしているのですが、風評は、いつやむのでしょうか。水田や農地を除染しても、山から引く水が汚染されているので、また土が汚染される。山全体を除染できるのでしょうか。
・・・・・・・
NPOとして災害復興に取り組んでいる地元の若者たちは、宝です。希望です。
しかし、彼らの前に横たわる現実は、彼らの努力や熱意だけではどうしようもないのです。一生懸命に話してくれる若者を前に、何も答えることが出来ず、ただ黙るしかありませんでした。しかし、それではだめなのです。日本中が、この福島の若者たちの声を聞くべきなのだと思いました。
そのためにも、問題の本質をつきつめる必要があります。
ある仮設住宅で話を聞いた時、その主婦がたまりかねたように言いました。「東電は、安全だ、絶対安全だと何度も言いました。それはウソだった。ご先祖から何代も受けついできた田畑も屋敷も放り出してきました。私たちは何も悪いことをしていないのに、なぜこんな目に合わなければならないのでしょうね。悪いことをした東電の人達は、ボーナスや給料もたくさんもらって、自分の家で暮らしている。おかしいと思いませんか」
原発事故は天災ではありません。人災です。何の罪とがもない普通の市民の生活を破壊し、苦境に追いやる悪行は、犯罪です。
東京電力は、とてつもない加害者であり、犯罪者なのです。
最近の東電の言行や姿勢をみていると、とてもその自覚があるとは思えません。国営化の動きに対しても、民間でいたい、株は3分の2所有したい、子会社は整理したくない、資産は処分したくない、値上げは権利だ・・・そういうことが許される立場だとは、とても思えません。
と同時に、これほどの苦難を福島の人達に与え、多くの国民にも不便を強いながら、脱原発をあいまいにし、原発再開をもくろむ政府や経済界も、加害者、共犯者の自覚が感じられません。
絶対に安全だと保証してきた原子力安全委員会も、原子力安全・保安院も、誰一人として責任をとっていません。
侵した罪を償うのです。なんとしても償うべきなのです。
正義のない国家は、かならず衰退します。



スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
プロフィール

magazinehaniwa

Author:magazinehaniwa
ブログ雑誌埴輪へようこそ!
埴輪同人 宇治敏彦・小榑雅章
連絡先
 magazinehaniwa@yahoo.co.jp

最新記事
カテゴリ
最新コメント
月別アーカイブ
FC2カウンター
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR