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漫画家、千葉督太郎さんを偲んで  宇治敏彦

 7月1日まで横浜の新聞博物館で「一枚マンガの原発と新エネルギー展」が開催されている。これは一枚漫画家集団の3回目の企画展だが、その中心人物だった千葉督太郎さんが展覧会を直前にした3月、敗血症で急死した。享年72歳。千葉県浦安のマンションに独り住まいで、近所の人が「新聞が溜まっている」と警察へ連絡したことで分かった孤立死だった。
 先輩漫画家の小島功氏が「い・と・し・の千葉督太郎」という冊子にこんな一文を書いている。「そう。もう50年・・・いや55年前になるかな。爽やかな、初夏の風が小さな庭から廊下を跨いで吹き込んでくる私の画室に正座している3人の学生。つまり千葉督太郎、矢尾督吉、清水健造の3君は、私の弟子になりたいと申し込んできたときの新鮮で涼しげなヒトコマを思い出す。3人とも私の一回り下の辰年であった。作品を見ると個性的で一応出来上がっていた。『私が教えることはないけど、酒の飲み方ぐらいなら・・・』と引き受けた」
 一枚マンガが新聞の政治面を飾っていた1980年代、千葉督さん(私たちはチバトクさんと呼んでいた)は「いとしの田中角栄さま」という漫画本の編著で第30回文春漫画賞を受賞。恥部を隠した裸の田中元首相を描いた「恥部」と題する一枚マンガにチバトクさんは「『ウヘェ、恥ずかしい。こんなのが日本の首相だったのかよ』―という思いを絵にするとこうなる。この世に、ダテに漫画家という職業が許されてあるのではないのじゃ」との解説を付けている。
 5月29日夜、銀座・三笠会館で「千葉督太郎さんを偲ぶ会」が開かれた。たくさんの漫画家にまじって初代林家三平夫人の海老名香葉子さん、かつてNHKTVの朝ドラ「鳩子の海」で主演した女優で俳人の藤田三保子さんも参加していた。私も思い出を語ったが、晩年のチバトクさんから強く誘われたのが北朝鮮訪問だった。「世界の謎になっている北朝鮮を取材せずして新聞記者とはいえない。一緒に行きましょうよ」と休日までも電話がかかってきた。昨年、ウノ・カマリキさんが漫画大賞を受賞した際、一緒に飲んだのが最後になってしまった。酔ってからむ癖の持ち主だったが、だれからも愛されたのは生まれつきの徳かもしれない。63歳から藤田さんの句会に通うようになり、「持ち帰る白菜一個の充実を」「平伏を家訓と守る平目かな」など金子兜太門下流の自由句を楽しんでいた。新聞博物館の展覧会に出品するため描いた漫画のタイトルが「ある夜の悲劇」。原子炉のてっぺんで骸骨になったサンタクロースをチバトク流に描いている。これが絶筆で、展覧会のポスターにもなっている。「最近の風貌は沼に棲む龍のようであり、その眼は光っていた」と小島功さんは書いている。漫画界は惜しい人材を失った。
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まとめtyaiました【漫画家、千葉督太郎さんを偲んで  宇治敏彦】

 7月1日まで横浜の新聞博物館で「一枚マンガの原発と新エネルギー展」が開催されている。これは一枚漫画家集団の3回目の企画展だが、その中心人物だった千葉督太郎さんが展覧会を直...

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