日韓共同製作ドキュメンタリー映画『李藝』を観て  宇治敏彦

 「最初の朝鮮通信使」とされる李藝(イ・イエ)の足跡をたどる表記のドキュメンタリー映画が6月1日から全国で公開される。最近、試写会でその映画を観て、現在の日韓関係を改善するには、このような外交官が必要だと痛感した。
 李藝(1373~1445)は生涯で40数回訪日している。時は朝鮮王朝前期、日本では室町時代だったから、よく遭難などで命を落とさなかったものだと思う。当時、倭寇と称される日本人の海賊が朝鮮半島や中国大陸沿海に出没し、朝鮮や中国の漁民たちを悩ませた。李藝が8歳の時に母親も倭寇に拉致されてしまった。成長して地方の役人になった李藝は、母親探しの目的もあって日本に渡るが、倭寇への恨みを抱えながら次第に日朝間の外交、経済、文化交流に力を入れるようになり、世宗(セジョン)大王の信頼を得て京都で室町幕府の足利将軍に謁見するまでになる。母親は見つからなかったが、71歳まで40数回の訪日で日本に拉致された朝鮮人667人を連れ戻した。江戸時代に盛んだった朝鮮通信使の始祖とされる所以だ。日本側でも日朝友好に貢献した李藝を顕彰して長崎県対馬の円通寺には「通信使李藝功績碑」が立っている。
 李藝が偉かったのは、母親の拉致という大きな「恨」を抱えながら、日朝間の友好に生涯を捧げたことであろう。このドキュメンタリーでは韓国人俳優のユン・テヨンが李藝の足跡をたどって釜山から京都まで旅する形をとっている。また日本の若者たちが韓国を訪れ、竹島問題など日韓友好の阻害要因になっているテーマについて韓国の若者たちと率直に意見交換する場面も紹介されている。
 「ナショナリズムを乗り越えたヒューマニズムこそが日韓両国に真の友好をもたらす力になるのではないか」。李藝の生涯は現代の私たちにそう教えている。
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

magazinehaniwa

Author:magazinehaniwa
ブログ雑誌埴輪へようこそ!
埴輪同人 宇治敏彦・小榑雅章
連絡先
 magazinehaniwa@yahoo.co.jp

最新記事
カテゴリ
最新コメント
月別アーカイブ
FC2カウンター
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR