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リンカーン大統領とユークリッドの公理  宇治敏彦

 スピルバーグ監督の映画「リンカーン」を公開前の試写会で見て、2つの点で示唆を得た。
その1は幾何学の「ユークリッドの公理」である。映画ではリンカー役のダニエル・デイ=ルイス(3度目のアカデミー賞主演男優賞を受賞した俳優。リンカーンの実像を好演)が無電通信士たちに奴隷解放問題に関連して自説を披露する場面。「ユークリッドの公理によれば、同じものに対して等しいものは全てお互いに等しい、という。人間も同じだ。白人でも黒人でも人間としては同じ価値を持つ」。リンカーンは貧しい家庭に育ったから、自らの努力で2000年も前のギリシャの数学者ユークリッドの理論を勉強したのであろう。自明のこと(self evident)として人間はみな平等の権利を持つことを幾何学から学んだ点が素晴らしい。
 その2.奴隷制廃止のため米国憲法修正第13条を下院で可決するため3分の2クリアを目指して共和党だけでなく民主党議員の切り崩しにもあらゆる手段を駆使する場面だ。
「64 Democrats lost their House seats in November, that’s---64 Democrats looking for work come March. They don’t need to worry about reelection, they can vote however it
suit’em」(11月の選挙で民主党は64議席減らした。来年3月には64人が失職するわけだ。再選の心配をしなくてもいいわけだから、自分たちの信念のおもむくままに投票できるだろう)
 リンカーンは奴隷解放に賛成するよう野党・民主党議員を自ら説得して回る。その結果、憲法修正に必要な3分の2をクリアしてThe amendment to abolish slavery(奴隷制を廃止するための憲法修正案)が可決されたのである。リンカーンや共和党がもっとイージーな解決を求めようとしたら、まずは憲法修正を「3分の2」から「2分の1」で可能にするような手続きを強行したかもしれない。しかし、それをしなかったところにアメリカの民主主義が存在したのではないか。どの条文をどう変えるのかの議論は二の次で、まず改正手続きのハードルを下げようという安倍政権や維新の会、みんなの党は、「もし社民党や共産党政権ができたら、また憲法改正が簡単になされる」などという反対の仮想はまったくしたことがないのだろうか。憲法改正が3分の2を要件にしている意味をもっと考えるためにも彼らに映画「リンカーン」をぜひ観て欲しい。
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