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出会った人々④無期懲役になった薄熙来氏  宇治敏彦

 日本円に換算して3億5000万円相当の収賄、8000万円相当の横領などに問われていた中国の元重慶市共産党委員会書記・薄熙来被告に対し中国山東省済南市中級人民法院(地裁)は9月22日、無期懲役、個人財産没収の判決を下した。江青、張春橋、姚文元、王洪文の「4人組」裁判(1980年)以来、2度目の外部公開公判となった裁判は中国国内だけでなく、世界の注目を集めていた。一時は習近平総書記のライバルとまで取りざたされた大衆人気の高い政治家だったが、妻の谷開来受刑者が英国ビジネスマンを殺害した嫌疑で拘束されて以来、一挙に腐敗政治者としてのレッテルを貼られてしまった。
 このブログ雑誌にも彼のプロフィールを紹介(2012年5月3日付)したが、あらためて直に会った時の印象を紹介しておきたい。1997年9月、大連で会ったとき彼は大連市長として活躍していた。当時48歳。大連市はサッカーが盛んな地方都市として知られており、街中の公園にもサッカーボールをかたどった巨大なモニュメントが置かれていた。市庁舎の中で、都市プランの立体模型を前に薄市長は、大連の将来をとうとうと語った。中国の政治家には多弁な人が多いが、彼もその例に漏れず、こちらが質問する隙がないぐらい熱弁をふるった。なかでも一番熱心に話したのは「公害企業には市内から退場してもらう」という点だった。「市民の健康問題を考えて順次、公害を出す企業には地方に移ってもらっている」と。「どうやってそういう企業を説得しているのですか」と聞くと、こんな答えが返ってきた。
 「改革を進めるためには企業や市民たちへの説得も必要だが、一番大切なことは改革の実績をあげて改革の必要性を認めてもらうことです」
 なかなか指導力のある政治家に見えた。しばらくして彼は遼寧省長になると、今度は地元企業家100人以上引き連れて東京に毎年のようにやってきた。招かれてホテルでのパーティーに出席したが、その雰囲気は日本の政治家が催す政治資金集めパーティーに似ていて、日本の政治家や経済人も交流を求めて大挙参加していた。
 そこでの薄熙来氏も、大連市長時代と同様に言語明瞭で、従来の中国指導者にはない陽気な米国型の政治家に見えた。重慶に移ってからも彼の大衆性はますます磨きをかけ、「改革派指導者」「弱者・底辺の人民を助けてくれる博愛政治家」「マフィア撲滅の人」などと多くの国民から歓迎された。一時、裁判所の周辺では毛沢東の肖像画や、平等実現、貧富の差解消などのスローガンを掲げて今回の裁判に抗議する支持者の姿が見られたという。「薄熙来人気」の高さを物語る。
 しかし、日本でも田中角栄元首相に代表されるように1955年体制(自民党一党支配)時代の政治家も「権力に正比例して腐敗度を強めていく」傾向があった。それと同様に薄氏の場合も中途半端な収賄や横領ではない。フランスのニースには3億円相当の別荘を持ち、息子の薄爪爪氏(米国のコロンビアに留学中)は800万円で飛行機をチャーターして学友40人をアフリカ旅行に招待したという。その資金はみな父親のスポンサーからの支援とされている。
 16年前に接した改革派政治家が、いまや中国の腐敗政治家の代表のように報道されるのは悲しいことでもある。だが妻や息子のなした破廉恥な行為や腐敗ぶりも含めて薄熙来氏の収賄、横領などは決して許されることではあるまい。やはり図に乗り過ぎたというべきだろう。無期懲役の判決とともに政治的権利を全て剥奪された薄氏のカムバックは当分、難しいだろう。いかに改革に熱心な政治家であっても、金権腐敗の渦から自ら抜けだす自浄力も持っていなければ名実ともに大政治家たりえないのは世界共通の真理である。
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