海外に何を発信すれば良いのか  宇治敏彦


 思わぬ人々、例えば政治家、医大名誉教授、企業経営者、農業従事者などがこの「埴輪」を読んで直接感想を寄せてくださるので恐縮する。こうした期待に応えるには畏敬する同人の小榑君とともに、もっと書かなければならないが、今回は日本の海外発信について私見を述べて、ご批判をたまわりたい。
 フォーリンプレスセンターという公益財団法人がある。300人近い在日外国人特派員の窓口になっている組織だが、先日、同センターの赤阪清隆理事長(前国連本部事務局次長)から「海外発信」をテーマにインタビューを受けた(現在、同センターのブログに掲載中ですので、ご覧ください)。そこでも申し上げたことだが、日本の海外発信には重要なポイントが3つある。
第1は、外国人の友達を持つこと。3年前、IPI(International Press Institute 国際新聞編集者協会。「報道の自由」を求めて世界のジャーナリストが1950年に立ち上げた国際組織。ウイーンに本部)の日本代表理事になったとき、理事会では初顔合わせのジャーナリストばかり。そんな中で韓国の年配の理事が私にIPIの内部事情をいろいろ教えてくれた。またオーストリアの女性理事(日刊紙編集長)から昨年秋、米国情報機関の世界的な盗聴疑惑に関連してプライバシー保護のための国際的な署名に参加してもらえないだろうか、と要請された。
世界人権デーにあたる昨年12月10日、ノーベル賞作家のギュンター・グラス氏(ドイツ)をはじめ80カ国約560人の著述家、ジャーナリストの署名が発表されたが、その名簿を見て、驚いた。日本からの署名は小生一人だったからだ。もしウイーンの女性編集長とIPIで知り合わなかったなら、新しいプライバシー保護策のための署名に対する日本からの署名はゼロだったことになる。自分がどうこうということではなく、日本という立場から見たら、それぞれの日本人が世界に友達を持ち、世界とのコミュニケーションを取っていくことが世界に日本の重要性を認識してもらう出発点になるのだと思う。長いデフレ不況で日本経団連や日本新聞協会はアメリカの事務所を閉鎖した。緒方貞子さん(元JICA理事長)から「グローバル化に逆行するわね」と叱られたが、まさにその通りと反省する。
第2は広報センス。3年前の東日本大震災と東電福島第一原発事故で多くの外国人が日本を去った。政府や東電の記者発表は英語でも行われたが、発表文書の英文が出るのは2日後というケースも目立った。数年前、北米でトヨタ車「カムリ」のブレーキ問題が起きたとき、豊田章男社長が愛知県のトヨタ本社で記者会見するというので、在京の外国人記者たちが新幹線で駆けつけた。しかし、会見内容は「社内に調査委員会を設ける」という程度で、米人記者たちはがっかりして帰京した(ただ、さすがトヨタと思ったのは、この話を聞いて豊田社長が訪米した際には米議会公聴会、現地販売店へのきめ細かい対応などでリカバリーした)。
 第3は、日本的特性の世界PR。携帯電話がガロパゴス(日本独自仕様)と批判の対象になったが、トイレの温水洗浄便座などはもっと世界に普及してしかるべきだと思う。トイレに限らず空気洗浄機、汚染水のろ過装置、井戸掘り機械など「清潔大国」モデルをクリーンジャパンとして世界に積極的に売り込んでいくべきではないか。
報道の世界でも反省点は多い。「国境なき記者団」が毎年実施している「世界報道の自由度」報告で、2013年に日本は22位から53位、さらに2014年には59位にダウンした。その理由は①記者クラブ制度など透明性の欠如②福島原発へのアクセス度③フリージャーナリストへの配慮不足―など。今年施行される特定秘密保護法で、「報道の自由度」がさらに低下するかもしれない。日本におけるジャーナリストの責任が増している。 
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