和菓子1個用の手作り紙袋  小榑雅章

甘いものが好きである。とくに、あんこものが大好物だ。
近くにうまい和菓子屋がある。大の男が甘いもの好きなどというのは、なんとなく恥ずかしいと思い、いつもは横目で見ながら通り過ぎるのだが、その日は、勇を鼓して入った。うまそうな大福やどらやき、おはぎ、生菓子が並んでいる。うまいぞうまいぞと手招きしているようだ。思わず顔がほころぶ。どれにしようか。お遣い物にするわけではないので沢山はいらない。さりとて1個くださいというわけにもいくまい。男子の沽券に係わる。とは言いながら、日持ちもしないのをたくさん買うのも無駄だし、健康にもよくない。
少々気がひけたが,店員さんに1個からでも大丈夫ですかと聞いたら、もちろん1個から大丈夫ですよ、とにこやかに言ってくれた。そこでどら焼きを一つにみたらし団子を一つ・生菓子を一つ買って帰宅した。帰って手提げのビニール袋の中を見てびっくり。それぞれの菓子が別々に簡単に包装されており,特に生菓子は一つだけが入る紙袋におさまっている。(写真)よくよく見るとその小さな紙袋は,その店の包装紙を切って張り合わせた手作りのようである。

最近は,独り住まいの人が多くなり,コンビニなどでも飲み物だけとか100円程度のお菓子1個だけ購入するのは当たり前だと聞いてはいたが、売る人に申し訳ないような、恥ずかしいような感じがしていた。でもそういう時代になったのか、とある種、取り残されたような感慨にとらわれた。
後日,再度この和菓子店を訪れて尋ねてみた。
あの1個用の紙包みは,やはり手の空いた時に大きな包装紙を切って、手作りしているそうだ。1個だけとか,ちょっとだけ買って下さるお客様が多くなってきたのと,他のお店で,やっているのを見ておしゃれだなと思って、2年ほど前からやり始めたそうだ。
この店の名は、つる瀬千駄木店。つる瀬本店は昭和5年に湯島天神のお膝元で創業した銘店だが、湯島の本店では,1個用の紙包みはやっていないようで、2代目が平成になってから開店したこの千駄木店のみの試みだそうである。
1個包装の店はほかにも沢山あるのだろうが、男子の沽券などとカビの生えたような世代から見ると、あの小さい1人用の手作り紙袋は、ほっこり優しさを感じさせてくれて、生菓子の鹿の子も一段とうまかった。

スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

magazinehaniwa

Author:magazinehaniwa
ブログ雑誌埴輪へようこそ!
埴輪同人 宇治敏彦・小榑雅章
連絡先
 magazinehaniwa@yahoo.co.jp

最新記事
カテゴリ
最新コメント
月別アーカイブ
FC2カウンター
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR