240万人への期待と不安  宇治 敏彦

 今夏の参院選挙は、選挙権年齢が「18歳以上」(従来は20歳以上)に引き下げられたことにより、従来の選挙より新たに240万人(18歳、19歳)が投票権を得る。これは有権者の約2%に相当するが、選挙権が拡がるのは1945年以来71年ぶりのことなので、こうした若者たちの声が選挙結果にどう反映されるか、大きな関心を集めるに違いない。
 急速に進んだ人口構成の超高齢化現象によって政治も年金・医療・介護といった高齢者対策に重点が置かれがちだ。最近よく言われる「子どもの貧困」問題なども政治上の施策が高齢者対策に向きがちなために子供・若者対策が遅れている一例といえよう。
 18歳選挙権の実施は、若者たちが政治の「世代間格差」に抗議の声をあげる一つのきっかけになるだろう。
 だが心配なことがある。肝心の若者たちが「選挙権」という行為をどれだけ重視しているか。つまり参院選に実際に投票にいくかという問題である。権利はあっても、その権利を行使しなければ宝の持ち腐れだ。過去の国政選挙における年代別投票率をみると、前回参院選(平成25年7月)では50、60歳代の投票率は60%台なのに20歳代は33・37%と約半分の最低であった。衆院選(平成26年12月)でも20歳代の投票率は32・58%だった。つまり20歳代では3分の2は選挙に行かず、納税者としての重要な権利の一つである投票権を自ら放棄しているのである。
 18歳、19歳の若者たちは「初めての選挙権」行使ということで、「初体験だから行ってみるか」という気持ちになるかもしれない。しかし240万人をトータルで見ると「政治に無関心」ないしは「自分たちには関係ない」と思っている人が多いのではないか。確かに安倍政権の新安保法制強行でシールズ(SEALDs 自由と民主主義のための学生緊急行動)など若者たちの政治行動も目立ってはいる。
 だが朝日新聞デジタルでの「18歳アンケート」結果(1月3日、同紙朝刊)によれば、129人の回答のうち「18歳選挙権はいいことだ」と思っている若者(東京外語大学生)は53人で、「どちらとも言えにない」66人、「よくないことだ」9人など、歓迎は半数にも達しない。「18歳からの選挙権で日本の若者は変わるか」にも「変わる」は61人にとどまり、「わからない」30人、「変わらない」37人など、若者たちの「冷めた目」が気にかかるではないか。
 これは若者だけの現象ではあるまい。日本人全体が今の政治や政治家たちに、あまり期待感を持っていないのではないか。前回衆院選(平成26年)の投票率は52・66%と史上最低だった。有権者の半分近くは「投票なんて行ったところで」と投げやりなのだ。安倍首相は今年5月26,27日の伊勢志摩サミット(G7)で「世界のリーダー・安倍晋三」を誇示しようとしているが、一般市民は「暮らし向きを何とか良くしてくれよ」というのが本音だろう。
 さて240万人の18、19歳の諸君よ。確かに政治と庶民感情とのかい離は大きいが、絶望しないでほしい。これからの日本を背負っていくのは君たちじゃないか。まずは参院選に投票に行って、自分の決意を再確認することから、2016年以降の自分とこの国のために「自分は何が出来るだろう」と考えてみてはどうですか。
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