清原和博・元プロ野球選手が覚せい剤に頼った背景は?  宇治敏彦

 筆者が10数年前、調布市内から渋谷区内のマンションに引っ越してきた頃、広尾高校近くを散歩する清原和博に何回か行き合ったことがある。いずれも幼い男の子の手を引いて、今は山種美術館になっているビルの近くにある雑貨店にその子の駄菓子を買いに来てきていたようだった。子どもは100円硬貨を入れると、おもちゃのフィギュアが出て来るのをやりたがって、清原は笑顔で応じていた。本当に幸せそうな親子に見えた。
 2月3日夜、覚せい剤の所持・使用容疑で逮捕され、警視庁に車で連行されていく時の清原は終始うなだれており、短く刈り込んだ頭髪と口の周りの鬚が一層哀れさを誘っていた。
そこには子どもと散歩を楽しんでいた往時の面影は、微塵も感じられなかった。
戦後プロ野球界で有数のホームランバッターの一人だった彼が、なぜ覚せい剤に頼るような「駄目人間」になってしまったのだろうか。2014年9月に離婚を発表し、そのころには2人になっていた息子たちを妻側に渡したことが一つの要因ではないかとみられている。
 彼が昨年11月からインターネット上で始めたブログで、2人の息子と焼き肉を食べた時の感想として「あっという間に時間が過ぎた。別れ際に最後まで手を振る2人に涙がでた。今、一人ぼっちで部屋にいる。さみしい」(昨年12月14日)などと告白していた。
 たまたま「清原逮捕」の日の朝日新聞夕刊に「離婚『子に会わせて』急増。面会調停 年1万件 7割が父」という記事が掲載されていた。「調停で離婚した夫婦の子どもの約9割は、母親が親権者になる」「裁判官は『父親の育児への意識の高まりから、妻と別れても子どもとのつながりを求める父親が増えたのだろう』と話す」。
 私は「父親の育児への意識の高まり」に関係なく、子どもと離れた淋しさを実感する父親が増えたのだと思う。それだけ現代人は「孤独な環境」を意識する機会が増加しているのではないか。特に清原のように現役選手時代が華やかで、金使いも派手だった人物が妻や友達からも冷たい目で見られるようになれば、一般人以上に耐えがたい寂寥感を味わうに違いない。その寂しさを酒や別の女性で紛らわすことも不可能なときに「劇薬」として覚せい剤に走ったのは分からないではない。
 どうして覚せい剤を手にいれたのかは、これからの捜査に待つしかないが、清原の「心の闇」にたどりつけば、本当は死ねるのなら死んでしまいたい、という瀬戸際にあったかもしれない。その救いが覚せい剤の常用だったろう。だが、そこはどんなに苦しくとも踏みとどまって事態の改善に努力する「大人の決意」が出来なかったものか。それを「幼児性」という言葉で表現するのは酷かもしれないが、この寒空に駅の構内などで段ボールを布団代わりに寝ている人たちをみると、「清原よ、こうやってどっこい生きている人たちもいるんだぜ」と言ってみたくなる。
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