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「東日本大震災から5年」が突き付けている課題   宇治敏彦


 東日本大震災から5年を経過しても、なおストンと胸に落ちないことがある。「命が第一」という政(まつりごと)が本当に前進しているのだろうか、という疑問だ。
 大津波などで1万8000人以上が死亡したが、まだ行方不明の方が2500人を超えている。岩手、宮城、福島の3県では今も仮設住宅に暮らす人々が5万8000人いる。災害公営住宅の建設が遅れ、いまだ完成は6割にとどまっているからだ。1995年の阪神淡路大震災では仮設住宅居住者は5年でゼロになったのと大違いである。避難生活者は3県で約17万4000人。特に東京電力福島第一原発事故があった福島県では約4万3000人が県外での避難生活を送っている。言葉を変えた表現でいえば、3県で暮らしていた人々は「故郷を捨てざるを得なかった」のである。もっと厳密にいえば住みたくとも「住めない故郷」なのだ。
 全国的な人口減少傾向の中で、被災地を含む東北各県の人口減が目立っている。震災前の2010年と震災後の2015年の国勢調査比較では、宮城県を除く秋田、青森、岩手、山形、福島5県が人口減少率で全国1~5位となっている。宮城県でも女川町では37%減、南三陸町では29%減などと人口減が際立っている。福島の東電第一原発が廃炉になるまで40年ぐらい廃炉作業が続けられる。浪江、双葉、富岡といった町には町名は残っても通常生活が出来る町とはなっていない。
 「被災者の心に寄り添って」と安倍晋三首相が国会や記者会見で発言しても、何か虚ろに聞こえるのは上記のような復興作業の遅れ、あるいは復興不可能地域もあるからだ。
 そうした中で大津地方裁判所が3月9日、関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転差し止め決定を下した。「原発事故が起きれば環境破壊の及ぶ範囲はわが国を越える可能性さえある。発電の効率性は甚大な災禍と引き換えにすべき事情であるとは言い難い」「過ちに真摯に向き合うなら、対策の見落としで過酷事故が生じても、致命的な状態に陥らないようにするとの思想に立ち新規制基準を策定すべきだ」(仮処分決定の骨子)
 この判決こそ一般市民の「心に寄り添う」ものではないだろうか。「のど元過ぎれば熱さ忘れる」の考え方は原発事故には通用しないと思うべきだ。北欧のフィンランドは「クリーン国家」「クリーンエネルギー」を国策にしている。筆者はかねて日本が「クリーン国家」の見本になるべきだと提唱してきたが、安倍政権もフィンランドに見習って「クリーン・ジャパン」の旗を高く掲げてほしい。
 私たち国民も東日本大震災被災地の早期復興に向けて自主的な寄付とは別に実質所得の2.1%相当を「復興特別所得税」という形で平成25年分から平成49年分まで毎年負担することになっている。被災地以外の市民たちが「喜んでこの税金を払おう」という気持ちを持ち続けられるようにするためにも、「命が第一」という政治とは、どのようなものか、安倍首相に限らず与野党の政治家がもう一度、問い直すべきではなかろうか。
 
 

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