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国を守るとは、何を守るのか   小榑雅章

今日は、憲法記念日です。
新聞もテレビも、この日前後には、憲法問題を特集しています。
そういう日だから、逆に憲法については発言したくないのですが、今年は選挙の争点にもなりそうだし、安倍政権のあまりのひどさに、やはり黙っていられなくなりました。
私の言いたいのは、きわめて単純です。
むずかしいことを考えると本質が見えなくなります。
一番単純なこと、「もう絶対に戦争はしてはだめだ」ということです。
憲法9条は、二度と戦争はイヤだ、という国民の痛切な思いからつくられたのです。たくさんの人の生命と汗と涙の上に、やっと獲得したものなのです。
アメリカから押し付けられたとか、自主憲法ではないからとか、アホなことを言っている向きもあるようですが、その人たちはあの戦争がどれほどひどい苦しいつらい結果をもたらしたか、知っているのですか。
私の父親は、一兵卒として36歳で召集され、昭和20年7月1日にフィリピンで戦死しました。
<お国のために><お国を守るために>戦った名誉の戦死だ、誇らしいことだと言われました。
なにが名誉の戦死だ、36歳のロートルまで戦場に駆り立て戦死をさせ、女房と4人の子供を路頭に迷ませて、飢えさせ、寒さに震えさせて、何が誇りなんだ。
その<お国のために>というのは、なんですか。
<お国を守るために>というのは、何を守るのですか。
日本の国土のことですか。
日本国民のことですか。
日本の国民や国土のことだったら、戦争はそれをめちゃくちゃにしてしまったではないですか。
沖縄は文字通り全島が戦場になり、約10万人もの住民が亡くなりました。
東京も大阪も名古屋も、日本中の主だった都市には米軍の飛行機が襲来し、膨大な数の焼夷弾を落としていきました。焼夷弾は、燃えやすい油などが詰まっていて落下すると一瞬にして燃え上がって飛び散り、多くの家屋などを焼き、人々を殺傷させました。
戦闘員でもない日本のふつうの国民が空襲のために、全国で後50万人とも100万人ともいう人が、亡くなりました。3月10日の東京大空襲でわが家も焼かれましたが、この空襲で約10万人も死にました。
お国のため、国を守るために、というのは、国民の生命や財産を守るためではなく、それを犠牲にして何をまもるのですか。お国のためというその国とは何ですか。国民ではないのですか。
戦前は、国体護持、つまり天皇制を守る、そのために、醜の御楯(天皇のために自分を犠牲にしてもお守りする)となるのだ、と言われました。(今日よりは顧みなくて大君の醜の御楯と出で立つわれは-万葉集4373)
そして、日本は敗戦し、国民の多くの生命が犠牲になり、町は破壊されました。
国は天皇のものではなく、国民みんなのものだ、何よりも国民を大切にする国家でなければならない、それを実現するための憲法が、いまの日本国憲法なのです。改めて言います。まさに国民の生命と汗と涙の上に、やっと獲得したものなのです。
念のために、日本国憲法の三つの基本原則をおさらいします。
第一に、国民主権→天皇は象徴であり、主権は国民にある。
第2に、基本的人権の尊重→この権利は最大限に尊重される必要があり、侵すことのできない永久の権利。
第3に、平和主義→「戦争の放棄」、「戦力の不保持」、「交戦権の否認」を定めている。
中学校でも習うような憲法の基本を、いま改めて持ち出したのは、この3原則が脅かされようとしているのです。安倍内閣は、憲法改正を選挙の争点だと言っています。
あの、太平洋戦争の多大な国民の犠牲や甚大な国土の破壊の反省の上に、やっと獲得したこの3原則を、私たちは失おうとしているのです。
また戦争をするような国になってもいいのですか。
二度と戦争をしないという、不戦の誓いは、もうなかったことにするのですか。
今日の憲法の日などを云々するよりも、大事なのは6月の参議院選挙だと強く思っています。


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