世界はどこまで「逆流」するのか    宇治 敏彦

 2017年(平成29年)という新しい年がスタートした。日本各地では初日の出も見られ、穏やかな天候の正月となった。しかし、世界を見ると、元日の未明にトルコの首都イスタンブールのナイトクラブでは乱射事件があり100人以上の市民が死傷した。地元知事は「サンタクロースの格好をしたテロリストによる残虐行為」と公表した。このクラブもあるボスボラス海峡沿いの道を筆者も数年前に何回か通ったことがあり、他人事のように思えなかった。トルコではエルドアン大統領の独裁政権に対する不満が高まっており、テロ行為も近年、急増している。
 前日の大晦日にはイラクの首都バクダッドの市場で爆発事件が2件あり、買い物客ら25人が死亡した。過激派組織「イスラム国」(IS)系のメディアは「イスラム系シーア派を狙った」とする犯行声明を出した。
 21世紀は米国における同時多発テロ(2001年9月11日)で幕を開けたが、15年以上たっても、テロ事件は収まるどころか、ますます増えそうな気配ではないか。
 そうした現象に輪をかけるのが米国のトランプ新大統領の「自国優先主義」ではないかと私は危惧している。「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」というトランプ氏の発想は、メキシコなどからの移民急増で白人たちの職が奪われ、経済的にも米国の企業が疲弊していることへの対抗策から生まれたものと思えるが、トランプ発言の影響は単に米国内にとどまらず欧州やアジアにも波及している。人道主義の立場で難民受け入れに積極的だった西ドイツのメルケル首相も最近は孤立化を指摘され、秋のドイツ総選挙(下院選挙)で安泰とは言えないとまで欧州のマスコミは報じている。
 第2次世界大戦が終わった直後は国連の力も強く、日本が鳩山一郎政権の下で国連加盟を果たした1956年(昭和31年)までは、日本人の多くも「国連中心主義」という神話を信じ切っていた。また、もう一つの神話として「民主主義国同士での戦争は起きない」とされ、そう信じられていた。だが1982年(昭和57年)4月のフォークランド戦争(イギリスとアルゼンチンの間で起きたフォークランド諸島をめぐる領有権争い)が勃発すると、その神話もぐらついた。
 トランプ大統領をはじめ世界中の指導者たちが「自国優先主義」をし始めたら「国際協調」「国連中心主義」「人命重視」の風潮は大幅に後退を余儀なくされ、G7サミットもG20サミットも有名無実化するのではないか。こうした「逆流」を止める政治指導者が出て来ないものか。「国境を超えて人命ファーストでいこう」という政治家を育てることが急務だ。そのために私たちも国際世論を盛り上げていこう。年頭に当たっての私の思いである。
 
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