安倍首相はトランプ大統領を叱ることが出来るか  宇治敏彦

 首脳同士が個人的にも親しくなるのは大いに結構なことだが、ワシントンやフロリダでのトランプ大統領に対する安倍晋三首相の破顔一笑ぶりを見ていると、「この人、アメリカに苦言を呈することは出来るのだろうか」と心配になる。現に同大統領がイスラム圏7か国からの入国禁止令を発したことに共同記者会見で米紙記者からコメントを求められ、安倍首相は「入国管理、難民政策、移民政策はその国の内政問題なので、コメントは差し控えたい」と逃げていた。同じ問題で英国のメイ首相は先のトランプ大統領との会談で「間違っている」と明言した。
 もちろん入国対象者がテロリストの疑いがあれば入国拒否をするのは当然だが、イスラム圏7か国という一般的基準で「入国拒否」をするのはイスラム教信者を不当に差別するという「信仰の自由に反する行為」そのもので、米国の裁判所さえトランプ大統領の決定に反旗を翻した。せめて安倍首相には「具体的ケースについてはコメントを避けるが、信仰の自由は国境を超えて守られるべきだというのが私の信条です」というぐらいのコメントはしてほしいところだった。
 山口二郎法政大教授が新聞のコラムで「架空ゴルフ場密談」と題して、次のようなことを書いていた。
 (安倍首相)「まずはマスコミを手なずけるのが上策です。やつらにはすしを食わせれば、たちまち尻尾を振ってきます」
 (トランプ大統領)「じゃあ、インフラ資金よりも先に、日本一のすし職人をワシントンに送ってくれ。日本政府の資金でな」
 (首相)「お安いご用で。この際、ネタはヒラメがいいでしょう。上の顔色ばかりうかがう理想的な魚ですから」(2月12日、東京新聞朝刊「本音のコラム」)
 きつーいジョークだが、安倍首相が今回の首脳会談で環太平洋連携協定(TPP)からの米国の離脱に関して「それはおかしいですよ」と言った形跡はうかがえない。トランプ大統領は「安倍首相とはケミストリーがあう(気があう)」とおだてた。確かに安倍首相はオバマ前大統領とは、日本の自民党対米国の民主党という政治信条の違いもさることながらケミストリーが合わない点がみられた。首相とケミストリーがあうのはロシアのプーチン大統領、トルコのエルドアン大統領だとみられてきた。
 日米関係や国際関係が順調なときはよい。しかし、今年は世界がさまざまな側面で激動しそうだ。特にトランプ大統領は、常識から外れて(いや事実から外れて)自説を主張する性格の持ち主だ。大統領就任式典の参加者はオバマ大統領の就任式を上回って史上最高だったと本人やスポークスマンが平気で嘘を発表する。記者会見では、「ヒラメの記者」は指名するが、反対論を書く報道機関は無視する。安倍首相が「政府に反論するマスコミにも耳を傾けることが政権運営の王道ですよ」とトランプ大統領を叱る場面を見られる日が来るだろうか?
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