あなたの息子を戦死させていいのか―中内功の原点    小榑雅章

 昭和55年2月7日、京都の国立京都国際会館で関西財界セミナーが行われていた。折から、ソ連がアフガニスタンに侵攻していて、基調講演を行った日向方斉関西経済連合会会長は、ソ連の脅威を前提に徴兵研究の必要性を主張した。
 「日本は、本格的な局地紛争の抑止力を保つ必要がある」と説き、「国民一人一人が国を守る心を育成するべきだ」と問題提起した。
 その時、会場から「異議あり」という声を上げたのが、ダイエーの中内功社長だった。第二次世界大戦で一兵卒として召集され、フィリピンの山の中で米軍と闘い、手榴弾で全身に負傷し、九死に一生を得た経験があった。戦争だけはやってはいけない。「あなたは息子さんが戦争に行って戦死してもいいんですか」とつめよった。さらに「わが国は対米追随ではなく、ソ連を仮想敵国とみるべきではない。日本は貿易などで東西の架け橋になるべきだ」と反論した。
 これに対し、日向が激しく反論。さらに他の参加者からも国防費拡張を支持する発言や「憲法を改正して自衛隊を国防隊として内外に認識させるべきだ」などという意見が相次いで、中内さんは孤立した形になった。それえでも一歩も引かなかった。
日向会長には、公私にわたってお世話になっていた大先輩だったが、私はひるまず、主張した、戦争だけは絶対にいかん、と私は何度も中内さんから教えられた。
 いま、安倍首相は憲法改正に前のめりになっている。自分が歴史をつくると意気込んでいる。先週の憲法記念日の5月3日には、「2020年までに憲法9条に自衛隊を書き加える改正を行なう」と言い出した。
 北朝鮮が攻めて来たらどうする、ミサイルを撃ち込まれたら大変だ、尖閣列島を中国に取られていいのか、と国民の恐怖をあおって軍備増強と憲法改正を実現しようとしている。
 本気で、北朝鮮が攻めてくると言うのか、北朝鮮ときちんと話し合ったのか、北朝鮮が何を求めているのか、正面から話し合ったのか。中内さんの言うように「日本は貿易などで東西の架け橋になるべきだ」とは考えないのか。
日本はトランプ大統領の尻馬に乗って、憲法改正の機運に利用しようとしているが、国民を目くらましにし、間違った誘導をしてはならない。
 戦争は絶対にダメなのだ。
 先の戦争で、310万人もの犠牲者を出したことを忘れてはならない。

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