沖縄海兵隊の抑止力と有事法制 ②  小榑雅章

菅首相も、北朝鮮の魚雷攻撃による韓国哨戒艦沈没事件を引き合いに出して、沖縄の米軍基地や海兵隊による抑止力の意義を強調している。おまけに、新聞によると、民主党はこの夏の参院選公約では「昨年の衆院選政権公約(マニフェスト)にあった『在日米軍基地のあり方について見直しの方向で臨む』とした表現を削除している」という。
(http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/2010/news1/20100615-OYT1T00125.htm)
いまや日米同盟と「抑止力」が錦の御旗化してきている。
しかし、「抑止力」とは何なのか。抑止すべき対象がなければ、「抑止力」なんて必要ない。やはり、抑止すべきは対象は北朝鮮なのか、軍備増強著しい中国なのか。
おなじようなことを、中野好夫さんが先の「有事立法について」の記事の中で言っている。
「有事とは戦争、事変ということの隠れみの的美名にしかすぎぬことは、最初にも申しました。だとすれば、明らかに敵国の存在、いわゆる仮想敵を念頭においてのことでなければなりますまい。そもそも敵の存在しない有事立法などとは自己矛盾、ナンセンスにしかすぎないからです」
「では、その仮想敵とはどこの国なのか。戦前の日本軍とはちがい、とにかく厳として第九条を含む平和憲法を堅持している日本、また福田首相にしても全方位平和外交ということをこそ売りものにしているはずではありませんか。現在どこの国が有事立法を急いで必要とするような敵国的存在なのでしょうか。・・・」「むしろまず隣接諸国との平和関係確立への努力に徹することこそ、全方位平和外交の看板偽りなしという実証ではないのでしょうか」
「ところが、当面問題になっている奇襲侵犯ということが可能な国といえば、当然隣接諸国のほかにありますまい。だが、もちろんアメリカは論外。・・・ では、中国は?だが、これもやっと日中平和条約が成り、「永遠の友好」などといういささか悪乗りの礼讃論まで政財界人の口から飛び出す有様ですから、まず考えられないといってもいいでしょう。では、ソ連か?この方はまだ反共反ソの意識が相当に根強いだけに、かなり想定の危険もなしとは言えませんが、それにしても平時にあって、いきなりソ連から海を越えての奇襲攻撃というのは、空想としては成り立つかもしれませんが、現実問題としては非常識でしょう。
 では、北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国からなのか。だが、考えてみるとこれもおかしい。北朝鮮は韓国に対してこそ備えているかもしれませんが、何を好んで一足飛びに日本への奇襲攻撃など考えるか、想定する方がおかしいというしかありません。
 とすると、これはどうも空中楼閣を描いて赤くなったり青くなったりしているのではないでしょうか。・・・」
ながながと引用したが、冷戦構造が厳として存在している最中の「有事」論と平和のはずの平成の御世の「抑止力」と同列に置くことがこっけいなのかとも思うが、じつは根本の議論はほとんど同じことだとわかる。「空想としては成り立つかもしれませんが、現実問題としては非常識」を根拠に抑止力論を展開し、沖縄基地を恒常化している。本当に抑止すべき対象が存在するのか、もしあるとしたらそれはどこか、沖縄の海兵隊が抑止力になるのか、それは沖縄で無ければならないのか、外野から野次みたいな説明は聞こえてきても、少なくとも政府からは何の説明も無く、ただ日米同盟の重要性と抑止力という言葉だけが投げつけられても、少なくとも国民が納得できることではない。まして、被害の当事者である沖縄の人々が『怒』とするのは当然である。沖縄県民の犠牲を強いたまま本土の人間が、菅政権と同じように、日米同盟のため、抑止力のため仕方が無いなどという自分勝手な態度は許されることではない。
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