菅直人首相の流儀とセンス  宇治敏彦

 参院選挙で大敗を喫した菅直人首相がピンチに立っている。9月に民主党の代表選挙が予定されているが、「首相に就任したのが6月だから数ヶ月でピッチャー交代というのは、いかにも日本国が恥ずかしくなるよね」というのが唯一の防波堤とは、なさけない話だ。
 6月22日、日本記者クラブで参院選公示を前にしての9党首討論会が開催された時、控え室で菅首相の態度に違和感を覚えたことが2つあった。名刺交換の際に首相は随行の秘書官に「名刺、名刺」といって秘書官から手渡された名刺の束を自ら確認することもなく日本記者クラブ役員たちに無造作に配ったのだが、受け取った私は目を疑った。「副総理 財務大臣・内閣府特命担当大臣(経済財政政策) 菅直人」とあったからだ。「私も総理大臣の名刺をもらっておこう」といって名刺交換した討論会司会役の川戸恵子さん(TBS)もびっくりしたに違いない。菅内閣が発足したのは6月8日。それから2週間も経っているのだから内閣総理大臣の名刺が出来ていないはずがない。菅さんの手違いではないにしても、古い肩書きの名刺を堂々と総理に渡す秘書官の感覚はどうなっているのだろう。
 もう一つは菅さん自身のこと。9党首それぞれに座右の銘や選挙戦の目標を揮毫してもらう恒例の行事で、菅首相は「最小不幸社会」と筆で書いた。6月8日夜、組閣後の記者会見で述べた言葉で、それ自身には何の文句もない。日付を書いて「内閣総理大臣」あるいは「民主党代表」と肩書きを書くのかなと思っていたら、案に相違して「奇兵隊内閣 菅直人」だった。高杉晋作のエネルギーにあやかろうということだろうが、9党首の初の公開討論会という時に果たしてふさわしい表現だっただろうか。
 菅首相が6月17日、民主党公約発表の記者会見で消費税の見直し問題を提起し、唐突に「自民党が提案している当面10%への引き上げを参考にしたい」と述べたことが、今回の参院選敗北の一因とされている。確かに、そう思うが、それだけではないものがある。菅氏が政治家街道を突き進んできた「市民運動」とか「市民派感覚」といった政党政治家とはひと味もふた味も違う流儀やセンスと関係あるように思える。総理秘書官のお粗末さ、公式の場で奇兵隊内閣と揮毫するセンスも、何か1955年体制時代の大物政治家や官僚の無謬神話とはかけ離れており、民主党の参院選敗北ともどこかでつながっているような気がしてならない。(この項さらに続く)

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街頭詩人画家 城米彦造のHPが完成しました!

 はじめてネットに書き込むので勝手がわからずドキドキしています。
 失礼や誤りがありましたらお許しください。
 私は、宇治様の名著「木版画 万葉秀歌」に”城米彦造さんの生涯”と題された玉稿で、亡父を紹介していただいた者です。 
 ご著書は私の大切な宝となって繰り返し拝読し、万葉の世界にするりと入り込んでは、おおらかな気持ちをいただいています。 
 さらに雑誌「埴輪」を通じて教授してくださる様々な分野の論説などが興味深く、仲間内での話題提供でも好評です。
 ところでこのネット雑誌に励まされ亡父のHPを作ってもらいました。
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