スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

花森さんとかけそば  小榑雅章

外出しているときには、昼時にはほとんど蕎麦屋に入ります。蕎麦が大好きです。注文するのは、もりそばに決まっています。ざるそばは食べません。海苔の香りで蕎麦の味が消されてしまうからです。それに値段が高い。ばかばかしいです。
寒いときは、かけそばを食べます。このところ、三月というのに真冬のような寒さの日々が続いているので、もっぱら、かけそばです。
熱いかけそばを、ふうふういいながら食べるのがいいですね。
そんなとき、必ず花森さんのことを思い出して食べています。
私が蕎麦が好きなのも、かけそばを好んで食べるのも、みんな、花森さんの影響です。とくにかけそばはそうです。
晩年の花森さんは、休日になると三輪自転車に乗って、都内のあちこちへ出かけていました。そして昼はたいてい蕎麦屋に入りました。蕎麦が好きでした。神戸の出身でしたが、高校が旧制松江高校でしたので、割子蕎麦のうまさを堪能したようでした。
それで花森さんは、一人で蕎麦屋に入ると何を食べるのかな、と思っていたら、あるときぼそっと「かけそばをたべるんだよ」と言いました。「へえー、天ぷらそばとか天ざるとかじゃないんですか」
いまどきの若い人はあまり知らないかもしれませんが、昭和の時代には、花森さんは天下の有名人でした。テレビにはほとんど出たことのない人でしたが、新聞や雑誌には写真がしばしば登場していましたし、服装も特異でしたから、町を歩けば、多くの人が「あっ、花森さんだ」と分ったものです。
それだけに、蕎麦屋に入ったら、天ぷらそばなどの値段の高い種物を注文しないと沽券にかかわるとか、ケチと思われるのではないか、とつい見得を張りたくなるというのがふつうの人の感覚です。それなのに一番安いかけそば、とは「へえー」です。
そんな私の顔をみて、花森さんはこう言いました。
「蕎麦の味が一番分るんだよ。それに汁のうまいまずいがてきめんにわかる。まずい蕎麦を種物でごまかして食べてもまずいだけだよ。他人が何と思おうとかまわない。かけそばがいいよ、なにしろ一番安いからね」
なるほど。私はそれ以来、寒いときはもっぱらかけそばです。
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

ブログ開設おめでとうございます。

小榑さま

遅くなりました。
拝見しました!!

ブログの題名、この古色が気持ちよいです。
小榑さんの、
心にそっと触れる文章をずっと拝見したく
末永く宜しくお願い申し上げます。

山口
プロフィール

magazinehaniwa

Author:magazinehaniwa
ブログ雑誌埴輪へようこそ!
埴輪同人 宇治敏彦・小榑雅章
連絡先
 magazinehaniwa@yahoo.co.jp

最新記事
カテゴリ
最新コメント
月別アーカイブ
FC2カウンター
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。